ガンプラと言えば1980年に登場してから今でも大人気の商品となりますので、作られた事のある方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなガンプラを作った事がある方にこそ読んで頂きたい、ガンプラを素組からワンランク上の完成度を目指すテクニックをご紹介します。
ガンプラを作った事がある方であれば作り方はある程度ご存知かとは思いますが、本記事では復習という意味で基礎的なガンプラの作り方から始めていき、スミ入れやトップコートなどワンランク上の完成を目指す方法を実際に組み立てている画像を交えながら解説していきます。
さらには素組の次のステップとして全塗装を行うために必要な加工方法やテクニックなどもご紹介していきますので、いつもの素組からさらにかっこいいガンプラの完成を目指してみて下さい。
もちろん、初めてガンプラを作ろうと思っている方にも参考にして頂ける内容になっていますので、本記事を読んで是非お気に入りの機体を一体作ってみて下さい。
目次
1.こんなにあります!ガンプラの種類
ひとくちにガンプラと言っても沢山の種類(グレード)が存在しています。まずは簡単にではありますが人気のあるグレードの特徴について説明していきたいと思いますので、購入時の参考にしてみて下さい。
1-1.各グレードの特徴
SDガンダム | |
モビルスーツをディフォルメした独特なデザインで、パーツ数も少なく価格帯も安価なシリーズです。戦国時代をモチーフにした「戦国伝」、中世のファンタジーRPG風な「外伝」、三国志をモチーフとした「三国伝」など多数のバリエーションがあり、子供から大人まで幅広い層に人気があります。 |
HG(ハイグレード) | 1/144スケール |
ガンプラのスタンダード的なグレードで、最も多くの商品数が発売されているシリーズです。サイズ的に手頃な大きさな事もあり素組で楽しむのはもちろん、様々な工作を加えてディテールをアップするなど幅広い楽しみ方が可能です。 多くのグレードアップパーツも販売されているので手軽に改造ができるのも魅力です。 |
RG(リアルグレード) | 1/144スケール |
リアル性を追求したシリーズで、HGと同じ1/144のサイズながら、HGと比べると細かなパーツ分割や精密なディテールが際立っています。小さいパーツが多いため根気が必要な部分がありますが、完成すれば素組状態でも満足できるほどの出来栄えです。 |
MG(マスターグレード) | 1/100スケール |
内部フレームの再現や、先進的な可動ギミックを搭載するなどガンプラの進化を体現する先進的なシリーズです。HGよりもパーツ数が多く、サイズも大きいため作り応えがありますが、パーツが大きいため改造やディテールアップがしやすい一面もあります。 |
1-2.初級者と中級者へのおすすめはHGシリーズ!
私自身の独断と偏見によってしまいますが、初心者さんや中級者さんへのおすすめのグレードをセレクトしてみました。
初級者や中級者と表記していますが、はじめてガンプラを作る方を初級者。少しなれてきた方を中級者と呼称しています。
なお、上級者さんについては何でも作れると思うのであえて表からは外してあります。
初心者さん向け | SDガンダム HG(ハイグレード) |
中級者さん向け | HG(ハイグレード) RG(リアルグレード) |
はじめての方はパーツ数も少なく組立ても容易なSDガンダムシリーズがおすすめです。姿はディフォルメされていて可愛らしさもあるので女性やお子さんにも楽しんで作って頂けると思います。
ディフォルメではなく、等身も高くリアル系が良いという方にはHG(ハイグレード)シリーズをおすすめします。SDガンダムに比べるとパーツ数や組立工程は増えますが、数時間程度で組み立てることもできますので、1日で完成させることも可能です。各グレードの中でダントツで商品数が多いためきっと作りたいと思うモビルスーツに出会えると思います。
ガンプラ製作にもなれてきた中級者さんには上記でご案内した物と同じHGとともに、RG(リアルグレード)をおすすめします。パーツ数の多くて製作に時間がかかりますが、基本は骨となるフレームの部分にパーツを取り付けていく作業となりますので、注意しながら作業していけば間違いなく完成させることが出来ます。
なによりもRGの良い点は、細かなパーツ分割により塗装などをしなくても組むだけでかなり見た目的にもクオリティの高い作品になりますので、時間がかかっても満足のできる仕上がりを望めます。
はじめての方などによく「どのモビルスーツ(機体)を選べばいいのかわからない」と聞かれることがあるのですが、それについては”かっこいい”と思うもの、”作ってみたい”と思うものを選ばれるのがベストかと思います。 実際にお店に行って商品のパッケージを見てコレだ!という物を買ってみることをおすすめします。
2.ガンプラ製作に必要な道具
最近のガンプラは接着剤を使用しないはめ込むだけで組み立てることができる”スナップフィット”が主流となっていますので、道具はニッパーだけあれば組み立てることが可能です。
もっとキレイに仕上げたいのであれば、パーツの切り離し部分をキレイにするためにデザインナイフと、ヤスリがあれば大丈夫です。
今回の記事ではSDガンダムクロスシルエットの「Ζガンダム」を素組と、塗装向けの2パターンで実際に組立てながら解説を行っています。
その組立の際に使用した道具は以下の写真のとおりとなります。
「ニッパー」「デザインナイフ」は素組の際に使用。
これにプラスして塗装向けに「金属ヤスリ」と「紙やすり」を使用しました。
ガンプラ製作に使用する道具については『[プラモデル組立講座] プラモ専門スタッフおすすめ道具 初級~上級』にて詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
次の3章からは実際に「SDガンダム クロスシルエット Ζガンダム」を組立てながら解説を行っていきます。
解説は普通に組立てを行なって、付属のシールを貼り付けるまでの”素組”と、組立て後に塗装を行う事を前提とした”全塗装”の2つのパターンで解説をすすめて行きますので参考にしてみてください。
ガンプラに付属している組立説明書には、製作に必要な情報がいろいろと書かれていますので組立てを始める前にチェックしておきましょう。
HG「RX-78-2 ガンダム Ver.G30th」の説明書
組立てる際の注意点や、接着剤が要らないこと。組立てに必要な道具について説明がされています。
これらの内容を組立てる前にチェックしておけば、最初に道具を揃えてから製作に入れますので、スムーズに作業を進めることが可能です。
3.箱の中身と取扱説明書をチェック
早速製作をすすめていきますが、まずは製作するキットの箱を開封して、商品の内容物について確認を行うことをおすすめします。
理由としては欠品等があった際に製作が途中で止まってしまいますので、最初に確認を行い、欠品があった場合にはメーカーや買ったお店に相談をしてみて下さい。
組立説明書にランナーや付属物などキットの内容物が記載されていますので、箱の中に入っている内容物と照らし合わせながら内容を確認していきましょう。
4.説明書の指示にしたがってパーツを切り離してみよう
4-1.ランナー? ゲート?作業前に覚えておいたほうがいい事
プラモデルを買ってきて箱を開けてみると、中にはランナーと呼ばれる棒状の枠の部分とパーツが一体化した物が入っています。
①ランナー
周囲の棒状の部分をランナーと言います。
②ゲート
ランナーとパーツの間の部分をゲートと言います。
ランナーと比べると若干細くなっています。
基本的には①や②の部分をニッパーでカットしてパーツを切り離していくわけですが、グレードや発売時期によってゲートの形状は結構違いがあります。
最新のキットほどゲートの部分が細くなり、より作業がしやすくなっていますが、パーツの切り離しにはニッパーが必要となり、切り離し方にもちょっとしたテクニックが必要になってきます。
画像は最近のガンプラと少し前のガンプラのゲートの比較になります。
左が2018年に発売された「SDガンダム クロスシルエット Ζガンダム」
右は2009年に発売された「HG RX-78-2 ガンダム Ver.G30th」
左SDガンダムということもありますがゲートがかなり細く、手でパーツを切り離すことも可能です。
右はHGになりますが、最新のHGではもう少しゲートは細くなって来ていますが、やはりパーツの切り離しにはニッパーが必須となります。
ゲートに接している部分の中央部分がえぐれてしまい、周囲も白くなってしまっています。
組立てた際に見える場所だと結構目立ってしまうのでゲートを切り離す際には注意しながらの作業が必要です。
4-2.組立説明書を見て切り離すパーツを確認しよう
では早速パーツを切り離していってみましょう。
写真のように組立説明書にかかれている番号のパーツを探してみますが、説明書の見方は”赤いラインのA1がランナー”を示し、その後ろの”緑や水色のラインは該当パーツの番号”を示しています。
写真では水色のラインはA1のランナーにある3番のパーツを指し、緑色のラインはA1のランナーにある4番のパーツを指していますので、必要なパーツをランナーからそれぞれ切り離していきます。
4-3.基本は二度切り
ランナーからパーツを切り離す際にはパーツギリギリの部分でカットをしようとすると、切断部分を中心に左右に力が分散していき結果としてパーツがダメージを受ける可能性があります。
そのため、パーツへのダメージを最小限に抑えるためにも、パーツを切り離す際には二度切りすることをおすすめします。
ランナーから切り離す際には、パーツギリギリを切るのではなく、パーツから離れた部分をカットしてパーツにゲートが少し残った状態で切り離します。
その後、残ったゲート部分だけをニッパーでカットすればパーツへのダメージを最小限に抑えることが可能です。
最近のSDガンダムのようにゲートが極端に細い場合には、ランナーからパーツを切り離す際には写真のようにパーツにギリギリの位置でゲートをカットしても大丈夫なものもあります。
組立説明書を確認して頂いてくと手でパーツを取り外している画像があるキットについては上記のようにニッパーでギリギリでカットして問題はないですし、図の通り手で取り外しても大丈夫ですが、やはりパーツがえぐれてしまう場合はありますので切り離す挿す際には注意は必要です。
説明書に「一部のパーツはニッパーで切り取ります」と書かれているように、パーツの中にはゲートが太くて手では取れないものもあります。説明書には具体的にどのパーツがニッパーを使う必要があるか明記されていますので、それらのパーツについてはニッパーで切り離すようにして下さい。
中には写真のようにゲートがめちゃくちゃ太い物もあります。こういった部分には4-3の二度切りで対応してみて下さい。
5.パーツに残ったゲートの処理方法
ランナーからパーツを切り離して、さらにパーツに付いた余分なゲートをニッパーでカットしても、ランナーが若干残る場合があります。そんなに目立つものではありませんが、せっかくならばそれらもキレイに処理をして見た目の良い作品を目指してみてはいかがでしょうか。
5-1.デザインナイフやヤスリのそれぞれのメリットとデメリット
処理の方法としてはデザインナイフやヤスリ等を用いる方法があります、まずはそれぞのメリットやデメリットについてまとめてみたいと思います。
■デザインナイフを使用した場合のメリットデメリット
・その部分だけを処理できるので、他の部分への影響が小さい。
・切りすぎた場合や他の部分をえぐってしまった場合の補修が難しい場合がある。
・刃物を使うので怪我をする可能性がある。
■紙やすり、金属ヤスリを使った場合のメリットデメリット
・広い範囲に削り跡がつくため他の部分への影響が大きい
・削るだけなので傷がついても浅い傷なので補修がしやすい
・怪我をする心配が少ない。
次からはそれぞれのゲート処理について詳しく解説していきます。
5-2.素組の方におすすめ!デザインナイフを使ったゲート処理
組立てるだけの素組であればデザインナイフで処理した方が比較的見た目を良く仕上げることが可能です。
残ったゲートをニッパーで切り取った状態です。写真のようにまだ若干残ってしまっているので、この部分をデザインナイフで処理していきます。
デザインナイフで切り取っていきますが、コツとしては一気に切るではなく、少しづつ切っていくとキレイに処理ができます。
この際、切れ味が悪く感じたら刃を交換してあげて下さい。切れ味の悪い刃では逆に傷がついたり、怪我をする恐れもあります。
このように残っていたゲート部分を処理できました。
上がゲート処理後、下がゲート処理前になります。キレイに処理できればそれだけ見た目も良くなります。
カッターナイフなどでもこれらの作業は可能ですが、デザインナイフの方が取り回しもよく扱いやすいため、これらの作業にはデザインナイフの使用をおすすめします。
5-3.全塗装の方におすすめ!ヤスリを使ってゲート処理
最終的に塗装まで行うのであれば紙やすりや金属ヤスリでゲートを処理してしまい、その際にパーティングラインと呼ばれる線なども一緒に処理をしてしまうと効率的に作業を進めることが可能です。
写真のようにゲートが中央にある場合にはどうやっても跡が残ってしまいますが、全塗装の場合にはこの上から塗装を行いますので、これらの跡については気にしなくても大丈夫です。
最終的には余ったゲート部分やパーティングラインを消して表面をキレイにならしてあれば問題はありません。(中央のゲート跡の部分を上下に走っているのがパーティングラインになります)
このように金属ヤスリと紙やすり(#800)を使って表面を処理しましたが、横に走る溝が一部削れて埋まってしまっています。
溝が埋まってしまっても”目立てヤスリ”や”けがき針”、”デザインナイフ”などで溝を掘り直すことが可能です。(写真は目立てヤスリになります)
このように埋もれてしまっていた溝が復活しました。
写真ですとパーツ同士の合わせた部分が線となって見えていますが、これらの合わせ目については6-4で解説する合わせ目消しで消すことも可能です。また、合わせ目消しを行うのであればゲート処理もその時にまとめて行ってしまえば効率的です。
6.説明書のとおりに組み合わせていく
パーツの切り離しが終わったら、次はパーツ同士を組み合わせていきます。基本的には組立説明書を見ながら該当のパーツを切り取り、組み合わせていけば問題はありませんが、何点か注意すべき点があります。
6-1.組み合わせる前に説明書でしっかり確認を
パーツには組み込む際に向きが指定されている場合があります。写真ではA1の3番のパーツを組込む際に向きや形状に注意とありますので、その指示に従って、説明書の図と実際のパーツを照らし合わせながらパーツを組んで下さい。
パーツの中には組む際に順番が指定されている場合があります。写真ではB1の14番とB2の19番を元々作ってあったパーツに組込む作業ですが、黒いひし形で番号が書かれている場合にはその順番でパーツを組込む必要があります。
写真では先にB1の14番を組み込んでから、次にB2の19番を組み込んでいきます。
6-2.全塗装への道!ダボ加工
最終的に塗装を行う場合、最初に組立てる行為を仮組みと言い、塗装を行うために一度組み上げたものをバラす必要があります。その際に後々バラしやすくするためにダボ加工を行っておくとばらす行為が楽になります。
そもそもダボはなんなのかについてですが、ダボというのは、パーツ同士を組み合わせるためのピンとそれをはめる穴の部分を指します。
ピンをダボ、穴の部分をダボ穴と言い、ダボ加工はこの部分に加工を入れることで組んだパーツをばらしやすくするための加工になります。
左側が通常の状態、右側がダボ加工を行った跡になります。
左側が加工前、右側が加工後になります。
ダボ(ピン)の部分は右側のようにニッパーで斜めにカットしてみました。
ピンをそのまま短くしてしまうやり方もありますが、個人的に斜めカットがおすすめです。
ダボ穴は穴の部分を拡張してあります。これでピンが挿さってもゆるくなって抜けやすくなります。
穴を拡げる際にはやりすぎるとダボの意味が無くなりますので注意して下さい。
ダボ穴を拡げる際には半丸ヤスリがあると便利です。ヤスリを穴に挿してグリグリと回すだけ簡単に穴を拡げることが可能です。
私がダボ穴加工時に使用しているのはタミヤ製の半丸ヤスリになり、サイズ違いで2種類を使い分けています。この2種類で対応できない場合には、デザインナイフやヤスリで穴の内側を削って拡張しています。
スミ入れを行う際に使用されることの多いエナメル塗料ですが、このエナメル塗料を薄めるための使用する溶剤にはプラスチックを脆くする性質があるため、その脆くなったパーツにテンションが掛かっているとパーツが破損すると言われています。そのため、ダボ穴加工をしっかりとやっておくことでスミ入れ時のパーツ破損を抑えることが可能となります。
6-3.全塗装への道!後はめ加工
組立時において、最終的に塗装を行おうとした際に重要になるテクニックが今回説明する「後はめ加工」と、この後説明をする「合わせ目消し」の2つのテクニックになります。
ガンプラは腕や足などの個々の部位は、複数のパーツが組み合わさってその形を形成しています。そこで問題になるのが、パーツ同士を接着剤等で接着して合わせ目を消した後で、またこの状態に戻せるのかどうかという点になります。
後ハメ加工とは、これらの接着して合わせ目を消した状態で元々の組んだ状態に戻すために加工する事を言います。(簡単に言うとパズル的な感じです)
今回「後はめ加工」の説明を行うのは肩の部分になります。
腕の他のパーツは全てばらせるのですが、肩の部分は内部パーツを肩パーツではめ込む形になりますので、肩の部分をあわせ目消しで接着してしまうと、もとに戻すことができなくなってしまいます。
実際のパーツがこちらになります。内部パーツに突起があるため物理的に肩を接着した状態では取り付けることが出来ません。
そこで今回やる加工方法としては、肩の内側にあるダボと、内部フレームの突起部分を削って、上から滑らせてはめようと思います。
肩の内側にある、内部フレームの穴にはまる部分を削りますが、上の部分はしっかりと保持できるようにする必要があるため、下から上に斜めに削ってあります。
また、上のダボの部分もちゃんとダボ加工済みです。
内部フレームは右側のように上の突起部分は切り取って、その下の部分も上から下に削ってあります。(左が無加工、右が加工済)
これで肩のダボ穴がはまる中央のくぼみまでダボがスライドしていき、後からはめる事ができるようになりました。
一発で上手く行くことはありませんので、ちゃんとはまる様になるまで何度も調整しながら作業してみて下さい。
6-4.全塗装への道!合わせ目消し
続いてはもう一つの重要なテクニックである「合わせ目消し」を説明しますが、簡単に言ってしまえば、パーツ同士をあわせた際にできる合わせ目部分を接着剤などを用いて消す作業になります。
まずはパーツ同士を接着するわけですが、私は粘度があり、成分に樹脂が含まれている白い蓋のタミヤセメントを使用しています。
他にも流し込み接着剤や瞬間背着剤を用いた方法がありますが、私は確実に合わせ目を消すためにタミヤセメントでパーツを溶かしてから接着する方法をとっています。
接着剤を塗ってからそのままの状態で少し置いておき、パーツが少し溶けたぐらいのタイミングでパーツ同士を組み合わせます。合わせ目部分に接着剤や溶けたパーツがはみ出してきているぐらいがちょうどいいところです。
この状態でしっかりと接着剤が乾燥するまで置いておきます。大体一晩ぐらい置いておけば大丈夫かと思いますが、作業環境により乾燥までに時間が変わりますので、不安であれば24時間程度置いておいたほうが良いかと思います。
接着剤が硬化したのを確認してから早速合わせ目を消す作業に移ります。
最初は飛び出している部分をデザインナイフ等で大まかにカットしていき、その後は紙やすりや金属ヤスリで表面を削ってならしていきます。
合わせ目のあった部分をヤスリ等でヤスって合わせ目を消してみました。
はみ出した部分をデザインナイフでカットした後は、金属ヤスリで大まかに削り、その後紙やすりの#400→#800の順番で表面をならしています。
左側の素組の肩パーツと比較するとこのように合わせ目やゲートの跡、中央の線などが消えています。
まだ粗い部分がありますが、この後は角の部分(エッジ)をデザインナイフ等で削って際立たせて更に見栄えを良くしていきます。
どの接着剤についても一長一短がありますので、個人的な感覚になりますが簡単にまとめてみます。
7.シールを貼り付けて見た目をかっこよく
組み上がったら付属のシール(デカール)を貼って更にかっこよくしていきます。
シールの貼るタイミングについては組立説明書に指示されたタイミングで貼っていけば問題はありませんが、外側の部分ついては組み上げてから貼っても問題はありません。
基本的には取扱説明書の指示通りに貼っていきますが、実際に貼る前に向きや位置などしっかりと確認してから貼るようにして下さい。
小さいシールについてはピンセットを使った方が作業がしやすいと思います。また、貼り付け後はすぐに指で押したりして定着はさせないで、ズレがないのか確認してからの方が修正はしやすいです。
定着させる場合は指で押すのもいいですが、写真のように綿棒などを使うと力が均一にかかりきれいに貼り付ける事ができます。
細かい部分などは爪楊枝などを使うとシールに傷をつけずにキレイに貼り付けることが可能です。
左から「SDガンダム」「HG」「RG」「ガンダムデカール」になります。
水につけて貼り付けるデカールになります。使用する部分を台紙ごと切り抜き、水に付けることで台紙との間にあるのりが溶けてデカール部分だけが剥がれます。
8.ひと手間かけてワンランク上の完成度に
組み上げて、シールまで貼った状態ですが、更にもうひと手間かけてさらにかっこよい仕上がりを目指して見たいと思います。
8-1.スミ入れペンを使ってスミ入れをしてさらにかっこよく!
スミ入れはガンプラの表面に刻まれている溝(モールド)の部分に色を付け、溝の部分を強調する技法になります。これにより表面の溝がはっきりと見えるようになるので、より精密感が出てかっこよさが増してきます。
今回はGSIクレオスの「ガンダムマーカー スミいれ/極細タイプ」を使用してスミ入れを行ってみます。
今回使用するのはペンタイプなのでそのまま溝の部分をなぞるように書いていきます。
はみ出しても修正できるのでどんどん書いていってしまいましょう。
はみ出してしまった部分は綿棒などで拭くだけで簡単に落とせます。
跡が残るようであればエナメル系溶剤やオイルライターのオイルなどで吹けばキレイに落とせます。
写真はガンダムマーカーで書いた物を少し乾燥させてからテッシュで拭き取った物ですが、左のように跡が残ってしまいました。右側はその状態の物をジッポーオイルで拭き取った状態になります。
組立説明書の写真を参考にして各所にスミ入れをしてみました。こんな感じで溝の部分が強調されて見た目が全然変わりました。
スミ入れの方法としてはエナメル塗料を薄めて使用する方法もありますが、どの程度薄めればいいのかわかりにくい点があります。タミヤやクレオスから発売されているスミ入れ用の塗料はスミ入れ用に最適な濃度に調整されているので手軽に使えておすすめです。
タミヤ『スミ入れ塗料』 |
GSIクレオス『Mr.ウェザリングカラー』 |
「ガンダムマーカー」とタミヤの「スミ入れ塗料」を比較してみました。
左がガンダムマーカー、右がスミ入れ塗料になりますが、スミ入れ塗料のほうが細く塗ることが可能です。
8-2.つや消しトップコートでリアルな仕上がりに
すべての作業が終わったら最終的にトップコートと言われる仕上材を使用して、商品の表面を保護するとともに、つやを消してリアルな感じに仕上げてみます。
今回使用するのはGSIクレオスの「プレミアムトップコートスプレー」のつや消しになりますが、表面をつや立たせたい時には同製品の光沢を使用してみて下さい。
トップコートを吹く前にコート剤が付着してほしくない部分はマスキングテープ等でマスキングを行って下さい。
写真では先にシールを貼っていたため、つやを消したくない目の部分とセンサー部分にマスキングを行いました。
写真だと近づけていますが、スプレーを吹く時には作品から20~30cm程離して拭いて下さい。
近づけすぎると、スプレーから出たコート剤がしっかり広がらずにくっついてしまってダマになってしまう場合があります。
右がトップコート前、左がトップコート後になります。
表面の光の反射が減ったことで重量感のある落ち着いた感じに仕上がりました。
GSIクレオス『プレミアムトップコート スプレー』 |
左が何もやっていない最初の状態、右がつや消しのトップコートを吹いた状態です。
表面のてかり具合が目に見えて違いますが、それ以外にも色合いが落ち着き、モールド(溝)もしっかりと分かるようになり全体的に陰影がはっきりした感じになりました。
左がシールを貼った状態、右がそこからスミ入れとつや消しトップコートを吹いた状態になります。
いつもの素組から、ひとてまかけるとここまで見た目が変わってかっこよさが増してきます。
9.完成した作品を飾ってみよう
丹精込めて作ったガンプラですから、せっかくならば部屋に飾ってみるのはいかがでしょうか。
普通に棚に飾ってもカッコイイものですが、このように専用の展示台を使用すると更にカッコよく飾ることが可能です。
専用の展示台であれば空を飛んでいるような演出もできるため、様々なポーズを付ける事が可能です。
また、完成した作品をTwitterやフェイスブックなどのSNSなどに作品をアップしてみるのもおすすめです。
バンダイ『アクションベース5 ブラック』 |
10.目指すは全塗装!ガンプラの塗装について
組立てただけの素組でもかっこいいガンプラですが、次のステップとして自分で塗装してみる事をおすすめします。
確かに敷居が高いような感じはありますが、自分で塗ったガンプラなら更に愛着がわきますし、なによりも自分の好きなように色を塗ることができますので、自分だけのオリジナルカラーリングのガンプラを作る事も可能です。
今回は2種類の塗装方法についてご紹介いたしますので、次のステップへの参考にしてみて下さい。
なお、これから紹介する塗装については『[プラモデル講座]もう迷わない! 模型で使う塗料の種類と特徴 -塗装1-』にて、各塗装方法のメリットやデメリット、最適な塗料について詳しく解説しておりますのでこちらも合わせて御覧ください。
10-1.手軽にできる筆塗り塗装
筆塗り塗装は必要な道具が少ないため、初期費用もそんなに掛からず比較的手軽に始められる塗装方法になります。
最近のガンプラは最初からある程度は色分けがされていますが、アニメなどの設定通りの色分けではありませんので、筆塗りでさらに色の塗り分けをしてみるのはいかがでしょうか。
10-2.最終目標はエアブラシ塗装
最終的に塗装まで行っているモデラーさんの中で、一番多い塗装の方法がエアブラシでの塗装になります。
コンプレッサーとハンドピースなど必要な道具が多いため初期費用がかかってしまいますが、筆塗りでは出来ない塗り方もエアブラシならできますので、最終的にはエアブラシ塗装を目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は組立ての解説という事で、自分自身でもあらためて復習をする気持ちで組立ての基礎的な部分から解説をはじめて、組立ての解説部分では実際に組立て作業を行いながら説明を行ってみました。
塗装を行うための下準備として後ハメ加工やダボ加工などを紹介しましたが、実際に組み立ててから塗装まで行ったことのある方は、普通の素組で終わらせるつもりで作り始めても、その後に塗装するかも・・・と思いはじめて、結局はダボ加工を施していつでもばらせるように組立ててしまう事が多いそうです。
ある種の癖というか、その作業に慣れてしまっているんでしょうかね。 まぁ、そういう自分自身もそのひとりだったりしますが。(^^;
今回の組立て方は別段ガンプラだけでなく、戦車や飛行機などのスケールモデルなどにも活用できる技術となりますので、是非ガンプラ以外のプラモデルも作ってみて下さい。
写真協力:ホビーコロニー サイドセブン(埼玉県鴻巣市広田3604-2)
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