プラモデル 基礎から学ぶ失敗しない塗装方法 缶スプレー編 徹底解説

プラモデルに限らず、何かを塗装する際の塗装方法として缶スプレーを使用したことがある方も多いのではないでしょうか。

買ってきて封を開けるだけですぐに塗装に使うことができ、他に何かを用意する必要性もないので、手軽に塗装できるツールとしてはとても便利なアイテムの缶スプレーですが、失敗してしまったことのある方も多い現状・・・

そこで、今回は缶スプレーを使った塗装方法について、缶スプレーの特性や基礎的な取り扱い方などを交えながら解説していきます。まだ缶スプレーを使ったことの無い方はもちろん、過去に失敗して苦手に感じている方にも缶スプレーでの塗装にチャレンジしてみていただければ幸いです。

 

1.缶スプレー塗装の良い点、悪い点

プラモデルを塗装する方法として、缶スプレー以外にもエアブラシや筆塗りなど様々な塗装方法がありますが、缶スプレーで塗装することの良い点や悪い点をまとめてみました。

缶スプレーの良い点
最適な状態に希釈されているのでそのまま塗装に使える
・他に道具を用意しなくてもそれだけで塗装を行うことができる。

・キレイな光沢面が作りやすい。
缶スプレーの悪い点
色を混ぜることが出来ないため、販売されている色でしか塗装ができない。
・吹き出し量の調整が出来ないため、塗装面が厚くなりがち。
・吹き付ける範囲が広いため、細かい部分への塗装が難しい。
・乾燥までに時間がかかる。
缶が冷えているとうまく気化されず、安定した吹き出しができない
長時間使用すると缶自体が冷えてしまい安定した塗装ができない。

缶スプレーは塗料の吹き出し量を調整することができないため、細かい物よりは広い範囲の塗装に向いている塗装方法となります。また、塗料の吹付け量が多く、塗装面が厚くなるため、繊細なモールド(パーツ表面の溝)がある物の塗装にはあまり向いていません。

 

2.缶スプレー塗装の基本

手軽に塗装が行える缶スプレーですが、缶スプレーで塗装をした際に、塗料が垂れてしまったり、乾燥後に塗料が剥がれてしまうなど失敗してしまった方も多いのではないでしょうか。

そこで、まずは缶スプレーで塗装を行う際に覚えておいたほうがいい缶スプレーの特性や扱い方について解説をしていきます。

2-1.よく振る

缶スプレーは保管しておくと中の塗料が固まっていきますので、使用する前には必ず良く振って、中の塗料を撹拌(かき混ぜる)して下さい。
振った際に中でカラカラと鳴りますが、これは内部の塗料を撹拌するための金属ボール(撹拌玉)になりますので、カラカラと音を鳴らしながら数分間はしっかりと振って撹拌を行っていきます。

振るコツとしては大きく腕を振るというよりも、手首のスナップを利かせて振ったほうが効率的に撹拌することができます。この振る行為は最初だけではなく、塗料を吹き付けていない空き時間などにもこまめに振って撹拌をして下さい。

尚、このカラカラ音は塗料がなくなってくると変わってきますので、塗料の残量の目安にもなります。

 

2-2.温度と湿度に気をつける

缶スプレーは内部のガスが気化して内部の圧力を高めることで塗料が吹き出されてきます。
そのため、缶が冷えたり、気温が低いとうまく気化が出来ないため、安定した吹き出しができなくなってしまいます

回避方法としてはお湯につけて温めたり、バッテリーなどを温めるバッテリーウォーマーなどを使用して温めるという方法がありますが、温めすぎると圧力が高まり過ぎて缶が破裂する恐れがありますので、温める際にはあまり高温にならないように注意をして下さい。(35度前後がおすすめです)


缶スプレー自体に注意書きがありますので、使用する前に一度確認をしてみて下さい。

また、湿度が高すぎると乾燥後に表面が白っぽくなってしまう場合がありますので、缶スプレーで塗装をする際には雨上がりなどの湿度が高いタイミングは避けたほうがいいです。

 

2-3.吹き付ける時は距離と早さに注意する


缶スプレーで塗装をする際には塗る面と缶スプレーの距離は20cm程度あけて塗装を行います。
缶スプレーは近すぎると塗料がたれてしまい、遠すぎると付着する前に乾燥してしまい表面が荒れますので、この20cm前後がもっとも適している距離と言われています。


吹き付ける際には最初は塗る面から離れたところから吹き出し初めて、塗る面の上を通過させるようにして吹いていきます
直接吹き付けてしまう事でその部分だけ塗料が多く付いてしまう事を防ぐ目的もありますが、もう一点、吹き出し時に缶スプレーの吹出口に溜まった塗料がまとまって飛び出して付着する事を防ぐ意味もあります。

近づけて塗装を行うことも可能ですが、その際にはスプレーの左右の動きを早くして塗料が大量に吹き付かないように注意して下さい。

失敗しないコツは吹き付ける距離と動かす早さ

缶スプレーで綺麗に塗装するコツは、吹き付ける距離と共にスプレーを動かす早さにもあります。
同じ距離でも動かす早さで塗料の吹き付け量が変わってきますので、吹付け距離と共に動かす早さで、吹き付ける量のコントロールを行うことができます。

基本は近ければ近いほど、缶スプレーは早く動かすと覚えておくといいかもしれません。


缶スプレー塗装で一番多い失敗が塗料を吹き付けすぎたことによる垂れになります。

 

2-4.一気に塗るのではなくて何度も重ねる

塗装を行う際には一気に吹き付けるのではなく、何度も塗料を塗り重ねて行くように心がけて下さい。

一気に吹き付けると塗料がですぎて、結果として塗料がタレてしまう場合がありますので、基本はスプレーで何度も吹き付けて、薄く何層にも塗り重ねて行くとキレイに仕上げることが出来ます。

詳しくは次の第3章で説明しておりますのでそちらをご覧ください。

 

缶スプレーの吹き出し量を少なくする方法

前述したように缶スプレーは吹き出し量の調整を行うことはできませんが、写真のようにノズルキャップを外して5円玉を入れることで押し幅を少なくして吹き出し量を抑える事ができるようになります。
缶スプレーで塗装をしていて塗料が垂れてしまうようであれば試してみて下さい。(情報元:長谷川迷人

 

3.実際にやってみよう

実際にカーモデルのボディを使って缶スプレーで塗装を行っていってみます。
塗装する車のボディは前もってサーフェイサー(グレー)を吹き付けて下地を作ってあります。

3-1.まずは軽く吹き付ける


最初は軽く吹き付ける程度で大丈夫です。
表面が少しざらついた感じになりますが、これをやっておく事で次に重ねていく塗料の食いつきが良くなります

3-2.薄く何度も吹き付けていく


塗料を重ねていきます。
その際、全体的にまんべんなく塗料を吹き付けて行きますが、コツとしては先に端や角の部分から吹き付けて行くと角の部分にもしっかりと塗料が載ってくれます。
写真のように表面がブツブツした感じになりますが問題はありません。

3-3.どの程度吹き付ければいいのか


さらに塗料を重ねていきます。
表面のブツブツがなくなり全体的に艶が出てきたら完了です。
最後の方はスプレーを少し近づけて早めに動かしながら吹いていくと艶がよく出てくれます。


塗装から24時間経った状態です。
塗装を終えた時に比べと、乾燥が進んで塗料が落ち着いてきています。
これでも結構つやが出ていますのでここで塗装を終えてもいいですし、さらにクリアーを吹いてよりツヤツヤな鏡面仕上げを目指してみる選択肢もあります。

乾燥しているように見えても、塗料の溶剤臭がしている場合には完全には乾燥してはいません。その状態で触れると指紋が残ったりする場合もありますので溶剤臭がなくなるまでは触らないほうが懸命です。

 

缶スプレー塗装で一番艶がでるタイミングは・・・
缶スプレー塗装でもっとも艶が出るタイミングは塗料が垂れる直前と言われています。
垂れる直前が一番塗料がのっている状態なので、乾燥前に均一に塗料が拡がりツヤツヤな状態になります。ただ、もう1吹きで塗料が垂れるタイミングは感覚的な物になってきますので、何度か練習して試してみてもらうと良いかと思います。

 

4.失敗してしまった場合のリカバリ方法

塗装をしていて塗料を吹きすぎて垂れてしまったり、乾燥途中で指紋や傷を付けてしまっても対処をすることは可能です。
慌てて対処しようとすると逆に被害を広げてしまいますので、こういった場合にはしっかりと乾燥を待ってから対処を行っていきます。

4-1.該当の箇所を処理する


塗料を吹きすぎて気泡と垂れが出来てしまいました。
こうなってしまった場合にはの場では対処は行わず、1~2日間程度しっかりと乾燥させてから対処をしていきます。


該当の部分を紙やすりを使って研いでいきますが、力を入れすぎると傷が付いてしまいますのであまり力を入れずに研いでいきます

使用する紙やすりは1000番→1500番→2000番のように目の細かい1000番台を使用して段階的に研いで行き表面に大きな傷が残らないように注意して下さい。

 

4-2.再び塗装する 


紙やすりを使って該当の箇所を処理したら再び塗装を行います。
その際、塗装面の一部分だけを塗装し直しても、前回塗ったところとの色味が異なってしまう場合があるため、気にされるのであれば全体を塗装し直すのがベストです。

ただ、カーモデルや飛行機などの場合には写真のように該当のパネル部分だけを修正、塗装するという方法もあります。
写真はカーモデルのため、運転席側のドアパネルとフロントフェンダー、バンパーの部分だけ修正を行ったため、他の部分はマスキングで保護しました。
パネルとパネルの間には溝がありますので、前回の塗装部分と今回の塗装部分で色味に違いが出てもあまり目立たなくなります。


該当箇所を研いだ際に下地のシルバーが出てしまっていたため、再度サーフェイサーを吹いてから塗装をおこないました。
じっくり見ると下地の出ていた部分が少し暗くなっていますが、実際に塗装したものを見るとあまり目立ってはいません。

 

まとめ

今回はプラモデルの塗装方法の中でも手軽に行える塗装方法である缶スプレーについて解説してみました。

昔は塗装方法というとこの缶スプレーか筆塗りが一般的でしたが、最近はエアブラシが手頃な価格になった事もあり、エアブラシの普及にともなって缶スプレーの使用率も減ってきた感があります。

缶スプレー塗装はコントロールが難しいこともあり、塗料が垂れてしまったり、ブツブツと泡を吹いてしまうなど難しいような印象がありますが、今回解説したような特性を踏まえて頂ければとても便利な塗装道具と言えます。

特に、今回塗装のサンプルで使用したカーモデルのボディ塗装のように、缶スプレーを使用することで容易に艶のある塗装を行うことができますので、是非今回の記事を参考にしていただいて缶スプレー塗装に挑戦してみてください。

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